私は実技を教える時、生徒さんに、

「自転車に初めて乗れた時のことを

思い出してみて。」

という話をします。

たいていは親がついて

練習をすると思うのですが、

最初親から

「ああしろ、こうしろ」

と言われます。

でも、言われた通りに

やってみてもできません。

するとまた、違う言い方で

「こうやってみな」とか言われます。

それでも、できない・・・。

何度もやっているうちに、

転んで擦りむいて、

痛い思いをしたりします。

既に上手くできている子の姿を見て、

羨ましく思い、焦りが出てきます。

親に何度も同じことを言われて、

「もう、わかってるよ!うるさいな!」

と八つ当たりしたりします。

「もしかしたらこのまま

ずっとできないんじゃないか?」

なんていう不安が頭をよぎります。

なんだかもう続けていても

無理なんじゃないかと思って

やめたくなります。

頭でわかっていることが

なかなかできない。

それは、

頭で考えている通りに

身体が動くまでには、

時間がかかるからです。

とにかく練習を続けていると、ある日、

「あれ?今ちょっとできた?」

という瞬間が訪れます。

最初はまぐれかと思ったけれど、

それからやっているうちに、

できる確率がだんだん上がってきます。

そして、めでたくできるようになります。

そうなれば不思議と

その先ずっとできてしまうのです。

要するに「コツを掴んだ」ということです。

実技ができるようになるには、

簡単なことでも難しいことでも、

だいたいこのような流れを通るものです。

まず、どうやるのかという理屈を教わる。

そうしたらひたすらやり続ける。

また理屈を教わって、練習する・・・。

「頭で理解し、身体を動かす」

その繰り返ししかありません。

その時、いい先生とは、

「こうしてごらん」というアプローチを

たくさん持っている人なのです。